EOS RPのおかげで一気に身近になってきたフルサイズミラーレス。でもこの機種に対する評価が2分しているように感じます。EOS RPは小さい・軽いだけが特徴のモデル?電池の持ちが悪いのはそんなにデメリット?デジタル一眼を使いだして10年。プロではない、ハイアマチュアでもないあくまでサンデーフォトグラファーとしての立場から初心者目線でEOS RPをレビューしてみました。断然お勧め機種です!
(2019/7/22追記)ヨーロッパ旅行でがっつり使ってみましたのでその感想を追加しました。
CANON EOS RP 購入 素朴な疑問とおすすめポイント
EOS RPは初心者もターゲットにしていますので、そんな視点でのレビューがあっても面白いかと思いました。サンデーフォトグラファーである自分が購入後に気付いたこと、素朴な疑問点などを取り上げていきます。
購入コンセプト
購入した最大の理由、それは”旅先でいい写真が撮りたい”。これにつきます。とにかく軽くて小さい事、そして画質も担保したい。EOS Rのようなガチなものは必要ないけどやっぱりフルサイズは魅力、という事で購入しました。
購入したのは三星カメラ楽天市場店。今まで気づかなかったんですが、楽天ショッピングの3年間保険というものがあるんですね。もちろん無料です。自然故障に限りますが、同じ値段を出すならば補償がついている方がいいかと思い選んでみました。もっと安いお店はありますが、大抵はカード払いがNG。マイルを貯めたいという事もあり多少高くてもカード決済を取り扱っているところを選んでしまいます。
「バッテリーの持ちが悪い」は本当か?
本当です(笑)ただし、使い方によっては別に何の問題も無かったりします。
EOS RPのレビューでよく目にするのは「全然持ちません」的な意見です。恐らく今まで使っていた機種と比べてなのだと思いますが、この手の機種を購入する人達は既にEOS 5D Mark3やら6Dやらを持っている人たちだったりします。それと比べれば確かに”持ちません”。ヘビーユーザーの皆さんは1日に1000枚~とか平気で撮るわけですからその勢いではそりゃぁ持ちません。
参考までにバッテリーの諸元表で比べてみます。
EOS RP | EOS R | 5D Mark IV | |
---|---|---|---|
品番 | LP-E17 | LP-E6N | ← |
撮影枚数 | 250枚 | 370枚 | 900枚 |
重さ | 45g | 80g | ← |
電圧 | DC7.2V | ← | ← |
容量 | 1040mAh | 1865mAh | ← |
充電時間 | 2時間 | 2時間30分 | ← |
撮影枚数は常温(23度)での公称値。5D Mark IVはファインダー撮影での枚数
ご覧のように一眼レフ機のほうが圧倒的に多い事がわかります。それと比べればRPは圧倒的に少ないですね。実際のところはどうでしょうか?購入直後完全に充電しどれくらい電池が持つか試してみました。
初期設定を行ったり色々な機能を試しながら撮影してみたところ、120ショット程度で残量目盛りが半分になり、240枚程度で”充電してください”となって動かなくなりました。エコモードをON、画面確認時間は1分に設定しての結果です。たしかに持ちませんね。
設定も終わり、操作方法にも慣れてくればさらなるショット数が期待できます。改めてレポートしたいと思います。
自分は普段どのくらい撮影するのか?を把握するのがカギ
僕の場合は旅先でも多くて1日に200枚程度です。それでも頑張ってそのくらい。そうすると一日は持つ計算になりますので夜旅館で充電すればOKなわけです。同じようなスタンスの人でしたら何の問題もありません。ただし、イベントなどで大量に撮影をするようならば予備バッテリーも購入しておいた方がよさそう。
バッテリー容量が少ないのはデメリットなの?
”バッテリーが持たない”という事で購入を躊躇している方。ちょっと考えてみてください。もし、1日に200枚程度の撮影で動画もそれほど撮らないという使い方なのであればバッテリー容量が少なくても問題ありません。むしろ少ない(=バッテリーが小さい)事はメリットの方が多いとも言えます。
少ない事のメリット
- 小さいサイズなので本体側も小さくできている
- 小さいので軽量化に一役買っている
- 小さいので充電時間もその分短くて済む
少ない事のデメリット
- 電池の持ちが悪い
予備のバッテリー(Canon バッテリーパック LP-E17)もそこそこいいお値段しますが、もともと本体価格が安ですので初めから予備バッテリーまで予算に含めて考えるといいと思います。
下手に大きなバッテリーを積まれてそれでサイズアップする位ならよっぽど小さいままで予備を持った方がいいと考える人もいる事でしょう。どんなに大きなバッテリーを積んでいても結局旅行中一回は充電しなければならないわけですから…。
逆に”小さいとグリップが・・・”、とか”やっぱり電池の持ちがどうしても気になる・・・”という人は素直に一眼レフに行くか、次のモデルチェンジまで待つか、いっその事SONYのA7系に行った方が良いかもしれません。
小容量バッテリー対策で有効な方法は?
※以下メーカー側が推奨する使用方法とは異なります。必ず自己責任にてお願いします。
USB PowerDelivery(USB PD)対応機器を使用する
EOS RPは本体側でのUSB充電が可能となっています。(ただし、USB給電は非対応。カメラを使用しながら充電は行えません。)条件は必ずUSB Power Delivery(PD)規格の物を使う事。それ以外では充電されません。
旅行には必ずスマホの充電器は持っていくはず。だったら初めからUSB PD対応機器を持っていくようにすれば荷物を減らせます。iPhone8以降やiPad Pro,MacBook等を持っている方はUSB PDの恩恵を受けられる可能性がありますのでこの機会に対応機器を更新するのも一つの手かもしれません。
CANON純正USB電源アダプター PD-E1
CANONでもきちんと純正のアダプターを準備しています。ただしかなり高価。ちょっと二の足を踏んでしまいますね。
USB PD対応ACアダプタ
次にあげるのはAnkerのACアダプタ。PC用に購入した物がそのまま使えました。
Anker PowerPort+ 5 USB-C Power Delivery (60W 5ポート USB-A & USB-C 急速充電器)【PSE認証済/PowerIQ搭載/PD対応】
USB Type-C USB PD対応の充電器です。PD出力に関しては最大29Wとなっています。もともとはHP SPECTRE X360 13用に購入しもの。EOS RPへの充電時間はおよそ1時間40分程度でした。付属のバッテリーチャージャーでLP-E17を充電した場合の充電時間がおよそ2時間ですので、本体側で直接充電した方がはやい事になります。
USB PD対応モバイルバッテリー
モバイルバッテリーもPD対応のものがあります。購入したのは同じくAnker製の物。
Anker PowerCore 10000 PD(10000mAh PD対応最小最軽量 大容量 モバイルバッテリー)
USB PD対応のモバイルバッテリーです。似たようなものが多くありますのでご注意!必ずPD対応の物が必要です。前項ACアダプターとは違い、出力は18Wとなっていますが自分が試した限り問題なくEOS RPへの充電が出来ました。長期旅行では必須で、何度となくこのモバイルバッテリーに救われました。
本体が小さい・軽い事によるメリットは?
EOS RP最大の特徴は圧倒的な小ささと軽さにあります。何しろバッテリーを入れても485gしかありません。これはEOS Kiss X9iの532gよりも軽い数値です。
小さい・軽い事は具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
小さいのでマチ幅の狭いスリムなバッグにタテに入れられる
自分が最も魅力を感じたのが、カメラのサイズの中でも特に高さの部分。約85mmしかありません。このサイズはマチ幅の狭いスリムなバッグにタテにして入れられるサイズです。
EOS RPならば細めのインナーボックスにタテにすっと入れられるため、マチ幅の狭い、スリムなバッグに放り込んで街歩きが出来ます。
カメラバッグはなぜ重く感じるのか?それはマチ幅が広いからです。登山をされる方はご存知かと思いますが、体に密着出来ればできるほど重さを感じにくくなくなるものです。
- マチ幅が広い:重心が体から離れてしまい重く感じる
- マチ幅が狭い:スリムなバッグは体に密着させやすく重さを感じにくい
下の画像はEOS RPをグリップとは反対側を下に向けて入れたものです。インナーボックスはETSUMI インナーボックス クッションボックス ロング2 ブラック E-746。幅は内寸で80mm、外寸で約100mmとなります。ご覧のようにカメラ左側を下に向けタテにすっぽりと入れられました。
通常のカメラインナーバッグと並べてみましょう。
通常の向きと、グリップ左側を下に向けタテに入れた場合の違いがお分かりかと思います。これならばビジネスバッグにも入ってしまうサイズです。旅行のお供、お散歩カメラにぴったりですね。
小さいゆえのデメリットは?
グリップは小ぶりながらも指に良い感じに引っ掛かります。軽めのレンズを付けている限りホールド感は良好のように感じました。しかし、大きめのEFレンズを使うとバランスが悪くなる感じがします。
バランスが悪い – 具体的にどう悪いのか?
既存の重いEFレンズを付けるとバランスが悪くなると多くの方がレビューしていました。具体的に何がどのようにバランスをくずしているのでしょうか?
重心が前の方になり重く感じる。先ほどのカメラバッグ、重心が体に近ければ近いほど重さを感じにくいのと同じ原理です。本体が軽い分レンズの重さが際立ちます。重心が前の方になりやたら重く感じます。
右手のホールド感が悪いと、左手のみでカメラを支えている感覚になり重たく感じる。
- EOS 7D+EF24-70mm Lの場合:1510gを両手で持つ感覚
- EOS RP+EF24-70mm Lの場合:1150gを左手一本で持つ感覚
さて、どちらが重く感じるでしょうか?あくまで感じ方の問題ですが、EOS RPだと約2/3の重量でもやたら重く感じます。
バランス対策:グリップストラップを使用する
つけてみたところ
アルカスイス互換のパーツで三脚用のねじ穴を使って止めてあります。ここに別途ストラップも付けられる仕組み。
ボディーをホールドする時、右手小指が微妙に余る
ボディーに高さがないゆえ小指が微妙に余り、重めのレンズを付けた時のホールド感が今一つです。女性はともかく、手の大きな男性はちょっとやりにくいかも。(中には男性でも問題ないというレビューも目にしますが、僕は手がでかい方なので・・・。)もっともこれはキヤノンも把握している事で、わざわざボディーをかさ上げして高さを稼ぐためだけの為にエクステンショングリップ EG-E1(RE)なるものをリリースしている次第です。
僕の場合、スリムなバッグに入れたい派なのでそこはトレードオフと割り切っています。手が大きい人特有の問題ですので影響は限定的かもしれません。お店で確認してみましょう。
鼻がタッチパネルに当たる
これは仕方がないでしょう。液晶パネル用の保護フィルムは必須です。
操作性はどうか?
今までCANONを使っていた人はそれほど迷うことなく使いこなせると思います。ほぼ直感的な構造になっていると感じました。ただ、操作性をがらりと変えてきた部分もあります。この辺りは慣れるしかありません。この点は評価が分かれそうですね。Windows10やEXCELのUIが変わって、「前の方が良かった」という人と「使いやすくなった」という人に分かれる事に似ているかも。変化はつきものです。そんな中でも良く工夫されていると感じました。
タッチ&ドラッグAFが思いのほか便利
EOS 7Dには”マルチコントローラー”というジョイスティックのような機能が付いていました。そのおかげで親指でAFフレームを直感的に選択出来ていたのです。
しかし、EOS RPには(EOS Rにすら)マルチコントローラーが付いていません。上下左右のファンクションキーか、メインダイヤルとサブダイヤルで選択しなければならないと思っていました。購入前は正直ここがマイナスポイントだったのです。
ところが!購入後気付いたのですが、なんとタッチパネルの操作でAFフレームを操作出来るではないですか!うれしい誤算でした。どうやらEOS M5にも同じような機能が付いていたようですがミラーレスは初めてだったので気付きませんでした。
カスタマイズも可能です。タッチ領域を全面、上・下・左・右、右上・右下・左上・左下・から選べます。自分の場合は右にしています。そうすれば、鼻が左のタッチパネルに当たっても誤動作を起こしません。また、タッチした位置でカーソルが選択される「絶対位置」設定と、現在の位置からドラッグした分カーソルが移動する「相対位置」設定の2種類から選べます。
本体が小さいおかげで右手親指でのAF操作も思いのほかスムーズにいきます。
また、「ごみ箱」ボタンを押すとセンターに一発で戻る仕組みもあります。ただ、ごみ箱ボタンが恐ろしく押しにくい位置にあるんですよね。ごみ箱ですからUX的にはむしろ押しにくいのは正解でしょう。そこで自分の場合はカスタマイズ機能を使い「上カーソル」ボタンにアサインさせて使っています。
まとめ RPでないとダメな理由を考えてみる
このブログは旅行がメインとなっていますのでカメラも旅行にもっていく前提で選ぶことが多くなります。画質が良くそれでいて小さい・軽いものという一見相反する組み合わせが長年の夢でした。バッグ一つで旅先をまわる時、機内持ち込みを想定した時、相対的にとにかく少しでも軽くしたいと感じます。
こんな人にお勧め
- とにかく、小さくて軽いものが欲しい
- 気軽に持ち出せるフルサイズが欲しい
- 旅先でも使いたい
- 画質は良い方がいい
- 機能は制限されていても納得できる
- フルサイズKissなんて言われても平気、気にしない
- ボカしたい!
現段階でのマイナス点
- 軽くコンパクトなRFレンズがない
- レンズ込みで考えると絶対的な軽さは期待できない
このモデルに対する評価で大きなウェイトを占めているのは恐らく、軽い・小さい事にどれだけの価値を見出せるか、の一点なのではないかと思います。
軽い・小さいとはいえ、レンズやコンバーターを含めて考えた場合、絶対的な軽さは見込めません。あくまで”フルサイズの割には”、”今持っている機材とくらべて”といった相対的なものと言えます。僕はこれにEF40mm F2.8 STMを付けて持ち出していますがかなり満足度の高いセットになりました。
人によっては、”結局特徴になるのは軽い・小さいという事だけ”と言うかもしれません。そんな人は迷わず上のモデルか他社モデルを選んだ方が良いでしょう。
逆にフルサイズで軽い・小さいものを求めていた人にとってはほぼ一択と言ってよいモデルに仕上がっているように思います。もちろん軽い・小さいだけのモデルではありません。EOS 6D mark2以上の画質を期待できるモデルです。必要にして十分な機能を備えつつ、そのモデルが軽くて小さい訳ですから、軽い・小さいは大きなセールスポイントになりうると思います。
追記:2週間のヨーロッパ旅行でがっつり使ってみた感想
(2019/7/22追記)
2週間にわたるヨーロッパ旅行に持っていきがっつりと使ってみました。やはり軽い事は最高のアドバンテージになりうる事を実感。
ローマではEF40mm F2.8 STMを使ってみた
EF40mm F2.8 STM(いわゆるパンケーキレンズ)を装着した、EF-Rマウントアダプター込みのEOS RPの重量はおよそ725g。ホールド感もちょうどよく体感では”軽い!”という印象でした。
ローマではとかくスリ・強盗に気を付けたいところ。一眼を常にぶら下げていると狙われやすくなると感じ、カバンに忍ばせて使いた時だけさっと取り出す、という方式で使用しました。そんなわけでEOS RPの小ささが特に重宝したと言えます。小さいですからね。いい意味で高級には見えないかも。もっとも実際のスリ対策としてはどこまで有効なのかは??ですが(笑)無防備よりはいいと思います。心配だった40mmという画角も構図さえ工夫すれば全く問題なし。単焦点に慣れておいて良かったとつくづく感じました。
高感度での画質を検証してみた
小さいからと言ってチャチなのかというとそんな事はなく、実際の重さ以上の高級感を感じ取れます。しかもフルサイズにしてはかなり安い価格。気軽にカメラを持ち出したいカメラ女子の皆さんに大いに支持される気がします。あとは早くRFマウントのパンケーキレンズが出て欲しいですね。そうすれば最強でしょう。
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