JR九州の783系ハイパーサルーン使用の「にちりんシーガイヤ」に乗車しました。今回は半室グリーンタイプの先頭車両をレビューします。
783系ハイパーサルーンの半室グリーン車両レビュー
JR九州には色とりどり、大変個性的な車両が多く存在します。しかも使いまわしが大変得意で様々な列車に用いられることもしばしば。今回レビューする783系も過去色々な列車運用に入っていました。
783系とは?
JR九州が国鉄民営化後初めて開発した交流特急型車両です。1988年のデビューですからバブルの頃でしょうか。当時としても豪華なつくりとなっていました。この時代以降先頭車両がグリーン車で前面展望が望める車両が数多くデビューしていきます。
前面展望車
特に特徴的なのが前面展望車です。かつては一両丸々グリーン席でしたがその後の改造を経て半室グリーン仕様となりました。製造が昭和63年、改造が平成6年であることが下の写真から見て取れます。(ブレていて申し訳ありません。)
乗ったのはクロハ782-5。つまり、先頭運転台付き車(ク)グリーン席(ロ)普通席(ハ)の車両という事です。782となっていますが、783系ファミリーの車両になります。
半室グリーン席という事でわずか4列しかありません。4×3=12席という大変こじんまりとした空間でした。
ご覧のように2+1列の配列でゆったりとしたつくりとなっています。
光の加減で見えにくいですが、最前列からは全面展望が望めます。頭上の荷物棚を見るとごく普通の作りになっていることが分かります。その後のJR九州の特急と比べるとどうしても古さ・野暮ったさが感じられますね。
上の写真は2列目の席から撮ったものです。他の前面展望車同様運転席の真後ろよりも、右列の方の展望の方が良い事が見て取れます。
座席
シートピッチは1200mm。JRグループの中では若干広めな部類に入ります。グリーン車お約束のフットレスとも完備されており、足元のカーペット敷きと相まって高級感を演出しています。
とはいえ、やはり古さが目立ってしまいますね。ヘッドレストの部分の作りが今一つで高級感が感じられません。やはりデビュー時期を考えると致しかたない事なのでしょう。
ひじ掛けの高さはこんな感じです。ワイドビューひだのキハ85系と同じような高さですね。このグリーン席はセミハイデッカーとなっているため、窓の位置がだいぶ下の方にまで伸ばせている事が分かります。
窓枠は1席に付き1枚となります。座席を回転させて向かい合わせた場合、列番号に関係なくどのようなパターンであっても必ず真ん中にピラーが来る形です。
入口は車両中央に
上の写真、1という号車番号の下に、グリーン席→A室、←指定席B室と書かれていることにご注目ください。783系の特徴の一つとして、入り口ドアが車両の中央についている事が分かります。
通常両サイドにドアがある場合、グリーン席室を通過して指定席室へ移動といった導線が出来てしまいます。しかし中央にドアがある事によって、グリーン席の人は前方へ、指定席の人は後方へと流れていく事になります。グリーン席は先頭部分に位置しますので通り抜けが出来ません。結果、指定席を利用する人たちがグリーン席のあるA室に立ち入る必要がなくなり、より専用スペース感が増す事になります。JRの車両の中でも独特の作りですね。JR九州はこのころから”斜め上”を行くようなユニークな車両を世に出してきていたと言えます。
にちりんシーガイヤ お勧めの座席は?
今回取り上げた列車は博多発宮崎空港行き「にちりんシーガイヤ7号」です。小倉にて進行方向が変わりますので、グリーン席側が先頭車両になるのは小倉~宮崎空港間となります。以下、下り宮崎空港行きの小倉以降を念頭に置いて説明します。
- 先頭車両が1号車~最後尾が5号車
- グリーン席は1号車
- 進行方向、向かって左からAB+C席
- 列は1~4列まで
2+1席のレイアウトですからどちらの席を選ぶかおのずと限られてくると思います。自分たち夫婦は左側AB席を予約しました。左手に見える風景を二つほど挙げてみます。
左側に席を取ると海が見えます。常に見えているわけではありませんが、アクセントになっていいですね。そういうわけでどちらかと言えば左側がお勧めと言えるかもしれません。強いて右の席を推す理由は…見当たらないですね。
まとめ 30年越え選手だが、フルムーンパス需要を担う大切な列車
デビューしてから30年が過ぎました。古さは否定できませんが十分リラックスできる空間にはなっていると思います。半室だけとはいえグリーン席が残してあることは評価できます。日本全体を見てみると中にはグリーン席を一切廃止したモノクラスオンリーな特急が増え始めていますからね。JR九州はユニークなコンセプトの車両を多く所有している事で知られています。鉄道でもうけを出すのではなく、他の分野でもうけが出せればよい、という考え方のようです。確かに、フルムーンパス需要を考えるとたとえ12席であったとしてもグリーン席を残す事には大きな意義があります。
いずれこの車両も廃止される事でしょう。そうなる前に乗る事が出来、良い体験が出来たと感じています。
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