職場には沢山の外国人がいるのですが、その内半分程度は外国人技能実習制度で来日した方々です。彼らは基本的な日本語は学びます。しかし微妙なニュアンスが通じにくい事も。そんななか着目したのがポケトーク(POCKETALK)でした。短い文章でしたらGoogle翻訳より使い勝手よし!
2019//11/15更新・ポケトークWが19800に値下げされました。
外国人技能実習生・外国人労働者とのコミュニケーション対策としてのポケトーク
最近テレビでよく目にするポケトーク。海外旅行、特に英語圏でない土地に行く時に重宝しそうかな?と思っていました。ただ、基本機械に頼らず頑張って現地の言葉を話した方が旅の良い思い出になる事もしばしば。しかし今回はまた違った分野でのポケトークの価値について考える機会となりました。
自動翻訳機って必要? 必要!
職場に多くの外国人がいる場合、円滑なコミュニケーションがはかれて初めて仕事は回っていきます。作業自体は、指示書・マニュアル類が各種言語で整備されているのでそれほど問題にはなりません。また、基本働きに来る人たちの多くは多少なりとも日本語ができるものです。しかし微妙な場面で通訳者が欲しいと感じるんですよね。いくつか例を挙げてみます。
支払い・仕事の条件の事でのトラブル
給料の事で良くもめます。日本の法律に則って行われている事なのですが、なぜかもめます。法律をよくわかっていない、うまく伝わっていない事が原因のようです。いずれにしても言葉の壁を乗り越えねばなりません。
日本の文化・しきたりの説明
これも多いです。文化の違い=価値観の違いになりますが、残念ながら上司はどちらかというと古いタイプの人間のため「常識」論で論破したがります。こんな時微妙なニュアンスが通じにくく、通訳の必要性を感じます。
技能実習生を病院へ連れていく
これが意外と多く、また難しい問題です。医者に病状を説明するだけでも一苦労。病気の度に外国人を派遣している組合に連絡をし足を運んでもらわねばなりません。
いずれにしても、派遣会社・組合の人に来てもらい通訳を頼むのですが、どうしてもタイムラグができ、業務にも支障が出ます。
そんな時、このポケトークがあれば事足りるのでは?と期待し導入が決定しました。
ポケトークとは?
POCKETALK(ポケトーク)とは?販売元のソースネクストによりますと・・・
74言語に対応、 まるで通訳がいるかのように対話できる夢のAI翻訳機、 POCKETALK®(ポケトーク)
- 翻訳専用機ならではの性能・機能が充実
- ボタンを押しながら話すだけの簡単操作
- ニュースのような文章も翻訳
- 色々な場面で言語を選んで話すだけ。学習にも効果的。
- 高い翻訳精度 クラウド上のエンジンを用いることで、常に最新。言語ごとに最適な翻訳エンジンを利用。
ソースネクストHPより。
まさに夢のようなコミュニケーションツールです。
ポケトークについての素朴な疑問 結局その正体は?
HPを見てはみたものの、今一つ仕組みがピンとこない方も多いと思います。結局これは何なのか?取り上げてみます。
- ネット回線を通じてリアルタイムに翻訳される
- グローバルSIM版とWiFi版がある
- グローバルSIM版は2年間のSIM通信料金込みの価格
- 2年後、SIMデータ通信の延長を5000円~/年で出来る
- 74言語、109の国や地域内※の対応SIM通信のある環境ならば使える
- オフラインでは使えない
※2019年1月現在
諸元表を見るとわかりますが中身はAndroidでした。つまり、SIMフリーのスマホを翻訳アプリ専用にしたものというイメージでしょうか。
欲しい言語としては、英語、ポルトガル語、スペイン語、中国語、ベトナム語、ミャンマー語、タガログ語あたりでした。残念ながら日本語→タガログ語に関してはディスプレー上に文字が表示されるのみで音声読み上げは非対応でした。タガログ語→日本語に関しては音声読み上げが可能です。
使えるエリアは?
一番の関心事はグローバルSIMの通信可能エリアはどれくらいあるのか、です。何しろオフラインでは使えませんからね。ポケトークのサイトに通信に関する情報がありました。
- 3G W-CDMA: BAND1/2/5/6/19
- 4G FDD-LTE: BAND1/2/8/19/28b
3G,4GともにBAND3には対応していないものの、1,19が含められているのでたいていの所では何とかなることが予想されます。自分の環境では問題なく使えました。
購入はどこで?
自分はPOCKETALK(ポケトーク)の公式サイトから直接購入しました。有償ですが通常1年保証の所を3年保証に伸ばせるオプションが選択できます。どこで買ってもほぼ値段は変わりません。だったら保証の延長が出来る公式サイトから買った方が何かと安心です。即日発送なので、次の日には届きました。欲しい時に手に入るのはありがたい。
開封の儀
これらが箱に入っていた一式です。丸いスマホのようなイメージですね。
端子はUSB Type-Cが一つ。これは充電用です。注意点としては、USB-USB Type-C変換ケーブルは付属していますが、ACアダプターが付属していません。別途購入が必要です。もっとも普通のUSB端子がつなげられれば良いので、手持ちのスマホ用で事足ります。
セットアップは簡単か? ほぼオートマチックで完了に驚いた
購入後一応充電します。10分で100%になりましたのでもともと減っていなかったのかも。
本体側面にある電源ボタンを長押しし、ON。すると初期設定ウィザードが立ち上がり、言われるままに設定を進めます。いきなり↓のような画面が出たのでちょっとビックりしました。英語が不得意な方はここでつまづくかもしれません。
今回はeSIMが内蔵されたタイプを購入しましたので、そのSIMを使いますか?といったメッセージが出てきます。もちろんここはYESで。
その後、WiFiにつなぐための設定、第一言語を選ぶ設定項目もありました。ちょっと謎だったのは、”あなたは成人ですか?”という設定項目があったこと。何に必要だったのか…。
その後、本体ファームウェアのアップデートも自動でやってくれ、物の数分で使用可能になりました。ほぼほぼ全自動といっても過言ではない簡単さです。
使用感レビュー
- こちらから話すときは左ボタンを長押しして話す
- 話してもらう時は右ボタンを長押しして話してもらう
これだけです。長押ししてピロ♪となったら話ます。話し終わったらまたピロ♪といって読み上げが始まります。画面にも表示されますので、読んでもらう事も出来ます。ただし、相手に話してもらう際のタイミングが難しいと感じました。「ピロ♪っといったら話してくださいね」と言いたいのですが、そもそもその言葉は通じないわけです。なので、使い方の説明をまずは翻訳してポケトークにしゃべらせるのが良いでしょう。
変換の精度はどうか?
例えば、「一年間に5日は必ず有給休暇を取ってください」といった言葉もきちんと翻訳されました。なかなかいい感じです。ファーストインプレッションとしては下のような感じです。
- ◎ 単語
- ◎ 短い言葉
- 〇 短い文章
- △ 長文
長文に難ありな部分もあります。しかしそれはこちらが話す日本語がそもそも正しくない、という事が関係していそうです。普段から適当な日本語を使っているんだな、と反省させれました。
確実に翻訳させる秘訣がありそうでしたので次に取り上げてみます。
(2019/6/13追記)3か月ほど使ってみましたが、どうやら単なる単語というよりも文章を話したほうが変換しやすいようです。Google翻訳はどうしても単語主体になりますが、旅行での翻訳を想定した場合、ポケトークの方が優れていそうです。
複数の言語を混ぜ合わせない
どういうことかと言いますと、下のような言葉です。
英語の中に、日本語の単語が混じっています。こういう時に誤変換をおこしやすいようです。
外国人労働者は日本で働いていますので、言葉の端々に日本語の単語を含めて話すことが多くあります。Shachosan(社長さん)、Shiyakusho(市役所)等々…。確実に誤変換します。
日本語もゆっくりしっかり話す
こんな例がありました。
今日の調子はどうですか?↓
「胃腸の調子はどうですか?」
日本語もゆっくり、はっきり話すよう心がけます。SIRIで慣れている人ならば大丈夫かもしれませんね。
主語を略さない
主語を省略出来てしまう日本語。これが誤変換のもとになる事があります。話し言葉より、書き言葉を意識するとよさそうでした。
あまり長文にしない
当然ですが、長くなれば長くなるほど誤変換のリスクが高まります。短めに、美しい日本語を心がけると良いようです。
単語よりも短い文章を
ファーストインプレッションでは”単語メインの方がいいかな?”と思ったのですが、どうやらこのポケトーク、だいぶ賢くていらっしゃる。短い文章を丁寧に話しかけた方がむしろ効果的なようです。単語単位だとGoogle翻訳で十分かな?!と思っていましたが、会話の翻訳となるとポケトークの方が使い勝手がよさそうです。
まとめ 文章の翻訳にそこそこ使えそう。今後の精度アップにも期待
当初の目的である、外国人技能実習生対策としてはそこそこ使える事が分かりました。普段の会話はポケトークを使わずに何とかなりますが、細かいニュアンスなどを伝えたいときにピンポイントでポケトークを使うと効果的であることが分かりました。電波エリア的にも問題ありませんでした。
今後のアップデートはどうか? ポケトーク本体が翻訳しているわけではないので心配なし
翻訳の精度については、ポケトークにしろGoogle翻訳にしろまだまだ伸びしろがある分野だと思います。過度な期待は禁物でしょう。
覚えておいていただきたいのは、このポケトーク、電子辞書のような本体側にデータを持ち本体側で翻訳をしているわけではないという事です。翻訳はネット上のサーバーで行われており、ポケトーク自体はそのデータの出入り口となっているだけです。
ですから”データが古くなったので新しいものを買い替えないといけない”、とはなりませんのでご安心を。
つまり、今後も翻訳精度の進歩が期待できそうという事です。AI翻訳が進歩すればもっともっと自然な形での翻訳がされるのではないかと期待しています。
海外旅行用はもちろん、ビジネス利用の方も需要が大きいのでは?
海外旅行の場合英語が出来れば何とかなりますし、できれば現地での会話を楽しみたいと考える人も少なからずいる事と思います。しかし、そんな淡い期待はあっという間に崩れ去る可能性があります…。いざという時にポケトークがあると安心かな!?と思いました。
さらには、外国人技能実習生のようなビジネス利用の方での需要も大きいのではと思いました。事実そのような使われ方をしている例が公式サイトにも紹介されています。
費用対効果は比較的高そうです。スマホを使いこなす若い世代はGoogle翻訳があればOKと思うかもしれませんが得意分野が違います。旅先で、職場の中で”ボタンを押せばすぐ翻訳”という手軽さは大変魅力的です。
2019年11月15日更新:ポケトークWがついに値下げされました。19800です。この値段なら個人でも手が出るかもしれませんね。
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