自然の川沿いにある露天風呂。温泉好きにはたまらないロケーションを備える栃木県塩原温泉郷・塩の湯温泉の明賀屋本館を訪れました。予想外だったのはかつての湯治棟!古く歴史を感じさせるもの好きの方は必見の旅館でした。
塩原温泉郷・塩の湯温泉 明賀屋本館の露天風呂と湯治棟レポート
東日本大震災後、父と二人で旅に出ました。その時に立ち寄ったのが栃木県那須塩原にある塩原温泉郷・塩の湯温泉 明賀屋本館です。川岸につくられた露天風呂が有名で、江戸時代から延々と使われ続けた歴史を感じることが出来ます。加えて、かつての湯治棟がまた素晴らしい!
塩の湯温泉へ
塩原温泉郷・塩の湯温泉の最寄り駅
JR東日本
- 東北新幹線・那須塩原駅
JRバス「塩原温泉バスターミナル行き」乗車60分、塩原塩釜下車
野岩鉄道
- 会津鬼怒川線・上三依塩原温泉口駅下車
ゆーバス「塩原・上三依線」にて25分、塩原塩釜下車
私たちは東北新幹線・那須塩原駅で降りました。この後バスの時間までしばらくあるため、駅前にある蕎麦処「平成」で昼食。
うどんでしたけどね。
さて、この後JRバスの塩原温泉バスターミナル行きに乗ります。
当時の運賃は1100円でした。運転手さんはご親切にも「1000円で回数券を買えば1100円分の券が付くから、その回数券を運賃箱に入れればちょうど良い」と教えていただけました。もう何年もたっていますので値上がりしているかもしれません。
道中きれいな渓谷を見ることが出来ます。テンションが上がりますね。
塩原塩釜についた後宿の人に迎えに来ていただきました。
肝心の玄関先の写真を撮り忘れました…。なのでGoogleストリートビューの画像です。
出典:Googleストリートビュー
川原と同じ目線!の川岸露天風呂と湯治棟
早速温泉です。有名な川沿いにある川岸露天風呂は本館から川へと階段で降りて行かなければなりません。
↓こちらが川岸露天風呂への入り口です。なんでも88段あるのだそう。
この入り口、実はかつて使われていた湯治棟への降り口でもあるのでした。では降りてみましょう。
結構な急こう配です。お城の中みたいですね。
さらに下ります。
すると↓のような緩やかな外階段に出ました。
階段の先に何やら建物らしきものが見えますね。さらに進みます。
かつての湯治棟が見えてきました。
現在は使われていないため廃墟と化しています。
この廃墟がまたすごいんですよ!このまま建物の脇を通って進む形になりますが、その時に廃墟となった建物を見る事が出来ます。残念ながら内部の見学はできませんでした。
本館のギャラリーには湯治棟が建てられた時と思われる古い写真が飾ってありました。
さてそのまま湯治棟の裏手に道は続きます。
上の画像は湯治棟の裏手に当たります。2階になるのかな?脇を通ってさらに階下へ降りていきます。すると脱衣場に出ました。
画像にはありませんが一応マイルドに男女が分かれているような脱衣スペースになっていました。ちなみに脱衣場は一階部分とすれば、目の前に見える湯舟はさらに下の階になりますね。
内風呂?的な湯舟がありました。そこから川原に出られます。
なお、現在上の画像にある浴槽には東日本大震災をきっかけに噴出するようになった新源泉のお湯が使われているようです。
さて、川原に出てみます。
ほんっっ当に川沿いです!(写真に写っているように中年のカップルが一組だけ先客でおられました。姿が入らないように写真を撮ってもいいですか?とお願いしたところ、体が写ってもいいよ、と言ってくださいました。)
湯船につかりますと・・・目線がもう川です。
完全かけ流しですね。そのまま川へ流れていきます。
さて、二つ前の写真を見ていただきますと分かるように上流の方には屋根がかかったスペースがありました。混浴とはいえ、こちらのスペースは若干陰になる形になるためシャイな方はこちらに身を潜めてもいいかも。
お湯はここから供給されているようです。
鹿股川の上流を眺めてみますと、手つかずの渓谷だという事がうかがえます。紅葉の時期はいいでしょうね。
↓お湯の吹き出し口を見てみます。
温泉の成分で鍾乳石のような形になっていますね。
川岸露天風呂からの本館へ戻る
さて、温泉から上がり戻るとします。
湯治棟の裏手を垣間見ることが出来ます。川岸露天風呂は実はこの湯治棟の1階部分と地下部分にあたる事になります。いやあそれにしてもこの雰囲気!歴史・古いもの好きにはたまりませんね。
今は使われていない階段も見えました。かつてはあちらからも降りられたのかも。
帰りはこんな感じ↓の坂になります。
途中にあるベンチ、なるほどお休みどころだったんですね。幸いまだ必要のない年齢でしたので使っておりません。
目の前の川(鹿股川)の事
箒川(ほうきがわ)の支流、鹿股川というようです。はじめ箒をほうきとは読めませんでした…。塩原温泉郷の塩原温泉街沿いを流れる一級河川が箒川。鹿股川は支流ですので川幅も狭く程よい秘境感を漂わせています。
温泉に浸かっていた時、目の前でヤマメが悠々と泳ぎライズしているのが見えました。訪れたのが春の時期でちょうどカゲロウのハッチがありしばし眺めておりました。ヤマメのパーマークまでしっかりと見えるほど澄んだ穏やかな流れでした。
温泉情報
- ナトリウムー塩化物泉(55.8度):保温効果
- 単純温泉(52度):美肌効果
川岸の方には濁り湯(ナトリウムー塩化物泉)が、内風呂の一部には少し黒っぽい墨湯(単純温泉)が注がれているようです。
公式サイトによると、源泉温度がそれぞれ55.8度と52度とありました。加水することもあるようですが、少し温度が下がればちょうど良い感じの温度ですね。かけ流しの温泉を楽しむ事が出来ます。
貸切露天風呂
明賀屋本館には貸切露天風呂もあります。確か本館のBFレベルにあったと思います。川岸露天風呂のように長い距離を歩く必要がありません。
寿と福という2つの露天風呂が並んであります。フロントでカギを借りるシステムでした。
そのうちの一つ寿を利用してみました。
洗い場はありません。加水用の水道があるだけです。基本つかるだけですね。体を洗う場所は本館の大浴場にあります。
このお風呂、実は崖沿いに作られていまして、目の前は崖、はるか下に鹿股川があるという位置関係になります。
上の画像は露天風呂から目の前の渓谷を眺めた様子です。奥の下の方に湯治棟が見えるのがわかるでしょうか。
こちらの泉質も濁り湯ですのでナトリウムー塩化物泉だと思われます。長年の温泉成分が湯船にびっしり。
本館大浴場
本館の大浴場もいちおう利用しました。体はこちらで洗います。
公式サイトによりますと、現在では新しい源泉からひかれた墨湯が使われているようです。
旅館の資料より
本館大浴場のあるフロアには貴重な資料が展示されていました。いくつか取り上げてみます。
宿帳ですね。よく見ると「元禄・・年」という文字が見えます。説明書きには、元禄元年(1688年)から安政3年(1856年)までの記録が残されているのだそう。江戸時代初期から続く老舗なんですね。ピーク時は毎年千数百名の受け入れがあったものの、天明の大飢饉の時には300名ほどに激減したことがわかるなど、とても貴重な資料だという事がわかります。
修学旅行の記念写真もありました。お風呂は順番に入ったのかな。などといらぬ心配をしてしまいます。
太古館の事
本館は昭和感漂う、そして露天風呂と湯治棟は江戸・明治感漂う作りでしたが、明賀屋本館にはもう一つ離れの太古館という棟も存在します。
こちらは大正ロマン漂う作りとなっています。
太古館の由来
現在の太古館は和洋折衷式建物で、総理丁技館・東京都技師で帝国ホテルの設計者といわれる鈴木愿一郎の設計になるものです。
それ以前に和風二階建の別館があって、大正初期に来館の徳富蘇峰氏によって、太古館と名付けられました。
氏は、静かなること太古の如しと当館の環境をみて命名したものと存じます。ー公式サイトより
なるほど。雰囲気だけでなく、本当に大正ロマン漂う建物でした。
部屋・食事・料金など
今回は温泉メインにレポートしたいと思っていましたが、一応お部屋や食事、そして料金にも触れておきます。
8畳川沿いのお部屋。二人ですからね。必要にして十分でした。古さはありましたがきちんと掃除は行き届いており気持ちよく利用できました。
2食付きのプラン。
夕食には牛肉やお刺身、山の幸など、定番な感じです。
朝食です。食べきれないほどでした。満足です。
今回の宿、実は当てのない旅の途中思い立って予約したため、あまり吟味せずに選びました。予約はにて。東日本大震災のあとに訪れたためでしょうか、1泊2食付き、一人9000円しませんでした。このお値段でこれだけのお食事が出、なによりも貴重な川沿いの温泉が入り放題ですからね。お得でした。
普段は楽天トラベルを利用するのですが、は取り扱い数こそ少ないものの他のサイトにはないお値打ちなプランがあったりします。この時も比較してみてこっちを選びました。一応毎回比較するようにはしています。
まとめ 歴史を感じるもの、温泉好きの方たちにはお勧めしたい老舗旅館
明賀屋本館は次のような人にお勧めです。
- 川沿いの露天風呂を体験したい
- 混浴は平気
- 古く歴史のある建物が見たい
- かつての面影にノスタルジーを感じる
- 体力には自信あり
- かけ流し温泉の温度が多少暑くてもぬるくても気にしない
- 食事は一般的なもので十分
逆に次のような方は他を選んだ方が幸せになれるかも
- 風呂まで遠いのは無理
- 混浴は無理
- 湯船の温度が一定でないのは無理
- 虫が苦手
- 最高のおもてなしと食事を望む
- 歴史を感じる?ただ古いだけでしょ、な人
とにかく秘境感漂う露天風呂でした。一度は訪れたいと思っていたところでしたので泊まることが出来て本当に良かったです。
なお、帰りも宿の人にバス停まで送ってもらい、ゆーバスにて会津鬼怒川線の上三依塩原温泉口(かみみよりしおばらおんせんぐち)駅まで出ました。そこから鬼怒川温泉へ抜けて東京に帰るというルートです。
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